【2024年版】クッキーレスによるWebマーケティングへの影響と対策
更新日:2024.01.16
公開日:2024.01.16
クッキー(Cookie)とは、閲覧履歴やユーザー情報を保存するWebサイト上の仕組みです。
ユーザーの利便性やマーケティングにおいて役立つクッキーですが、個人情報やプライバシーの観点からクッキーを規制する動きが進んでいます。
クッキーレスが本格化した2024年現在。クッキーレスに向けての準備は、今後のWebマーケティングにおいて重要な課題です。
本記事では、クッキーレスによる影響と対策について分かりやすく解説します。
今後のマーケティングを進める上で参考にしていただければ幸いです。
Contents
クッキーの種類
クッキーの種類は以下の3つが挙げられます。
①ファーストパーティクッキー
ユーザーが訪れたサイトのドメインが発行しているクッキー
②セカンドパーティクッキー
訪れたサイトのクッキーデータを提携サイト等が取得すること(クッキーの発行元は提携サイト)
③サードパーティクッキー
訪れたサイトに広告出稿する第三者のドメインが発行するクッキー
クッキーはユーザーの行動履歴・年齢・興味関心などさまざまな情報を取得できるため、顧客理解や購買意欲の喚起など、マーケティング戦略において欠かせないものです。
クッキーはどのように活用されている?
クッキーによって保存された情報は、ユーザーの利便性やマーケティング業務の効率化など、さまざまな面で役立っています。
以下はクッキー技術によってユーザーの利便性を高められる例です。
- 一度ログインしたサイトに再訪する際にIDやパスワードの入力が不要になる
- 氏名や住所の入力が自動的に行われる
- ECサイトで商品をカートに入れた状態で離脱しても、商品はカートに残ったまま
いずれもユーザーの手間を減らせる非常に便利な仕組みですね。
一方、クッキーは以下のような情報を類推できます。
- アクセス回数
- サイトの遷移
- 興味関心
これらの情報が分かれば、ユーザーがどんな商品を必要としているのか、何に関心を持っているのかを把握できます。そのため特定のユーザーに向けた最適な広告を配信したり、分析や戦略を立てたりするなど、マーケティング業務にとって大きなメリットになるのです。
クッキーレスとは?
クッキーレスとは、クッキーによって得られる情報を規制する動きを指します。
規制対象となっているのは、主にマーケティングで利用される第三者発行のサードパーティクッキーです。
2023年から2024年にかけてサードパーティクッキーの規制は範囲を徐々に拡大しており、2024年後半には完全に廃止されます。
GoogleChromeは2024年1月4日から一部ユーザーを対象に段階的に廃止テストを開始しており、大きな企業も本格的にクッキー制限を進めているところです。
サードパーティクッキーはなぜ規制されるのか
サードパーティクッキーが規制される主な理由は、個人情報保護の観点から生じています。
サードパーティクッキーは、ユーザーが訪問したWebサイトとは関係のない第三者から発行されるクッキーです。そのため、ユーザーがその存在を認識していないうちに、ユーザーの行動履歴や興味関心などの情報が収集され、第三者に提供される可能性があります。これは、ユーザーのプライバシーを侵害する行為として問題視されているのです。
EU・アメリカ・日本では、法律によりクッキーによる情報の収集が制限され、個人情報の取得や利用にユーザーの同意が必要となっています。これを受けてAppleやGoogleなどの大手プラットフォームも、自社が提供するブラウザやOSにおいて、サードパーティクッキーの規制を自主的に実施しました。
約30年もの間利用されていたサードパーティクッキーは、ユーザーの安全性や個人情報保護のため終焉を迎えようとしています。
サードパーティクッキーによるマーケティングを行っていた企業等は、今後はクッキーレス対策を講じていかなければいけません。
クッキーレスの影響【WEBマーケティング・広告】
クッキーレスが加速するにつれて、WEBマーケティング・広告業界ではどのような影響を受けるのでしょうか。
ここではその主な影響について解説します。
行動履歴を活用したマーケティングができなくなる
クッキーレスになることで、Webサイトへの行動履歴などユーザーに関するデータが追えなくなります。つまり、過去の行動履歴からそのユーザーのニーズに合うものを配信するなど、効果的な広告配信が難しくなるのです。
行動履歴の分析は新規顧客を掴む上でも非常に重要なため、クッキーレスによって大きな影響を受ける企業は多いことが予想されます。
広告の効果計測の精度が低下する
広告をクリックしたユーザーの数、クリック後にどのように遷移したか、コンバージョン数など、Web広告の効果計測にはクッキーが活用されています。
しかし、クッキーレスが進むことによって、これらの計測精度は大きく低下するでしょう。
その原因としては、クッキーデータの保存期間の短縮が挙げられます。クッキーレスによって、クッキーの保存情報はすぐに削除されるようになるため、正確な効果計測は困難になるはずです。
広告の効果計測によって成果を出している企業にとって、クッキーレスの影響は大きいと言えます。
クッキーレス対策4選
クッキーレスが急速に進行している現状から、これからのマーケティング展望を考える上でクッキーレス対策はとても重要になります。
ここでは、最新のクッキーレス対策4選を紹介します。
①コンテキストターゲティング
コンテキストターゲティングはAIを使ったマーケティング手法です。AIのコンテンツ分析によって、自社コンテンツを自動的に関連性の高いWebページへ配信してくれます。ユーザーの行動履歴を必要としないため、クッキーレスであっても十分活用が可能です。また、関連性の高いサイトで自社コンテンツを届けてくれるため、ユーザーが興味を持ってくれる可能性も大いにあります。
②コンテンツマーケティング
オウンドメディアからコンテンツを提供し、集客を促すコンテンツマーケティングは、クッキーレス時代においても有効な手段といえるでしょう。
オウンドメディアの集客において重要なのは検索エンジンからの流入です。特定のキーワードから自社へ流入させるには検索順位を高めることが重要なため、SEOの理解や地道な更新作業が欠かせません。
すぐに結果を出すのは難しいかもしれませんが、クッキーに依存しない中長期的な集客方法としてコンテンツマーケティングはおすすめです。
③クッキーの代替技術
GoogleやAppleをはじめとする大手プラットフォームでは、クッキーに替わる技術の開発に力を入れています。
例えばGoogleの行っている「プライバシーサンドボックス」は、ユーザー情報を非特定化したシグナルに変換することで、プライバシー保護を意識した効果測定が可能です。
また、Googleが開発を進めている「Topics」では、ユーザーの選択したジャンルを扱うため個人情報や匿名性を配慮しながらも、適切なコンテンツを配信できる仕組みになっています。
これらの代替技術を活用することで、サードパーティークッキーに代わるターゲティングが可能になるかもしれません。
④ファーストパーティークッキーの活用
サードパーティクッキーの規制が進行しているため、ファーストパーティクッキーの活用がマーケティングにおいて重要になります。
ファーストパーティクッキーは、自社が発行するクッキーであるためユーザーの承諾を得やすいことが特徴です。また、ファーストパーティクッキーによって得られるデータは自社サービスに興味を持っているユーザーのデータといえるため、分析や計測にとても役立ちます。
価値ある情報を収集するためには、顧客離れを起こさないようにすることが大切です。
コミュニケーションの強化を意識しながら顧客の興味関心を読み取り、魅力あるサービスを提供し続けることを意識しましょう。
クッキーレス時代に向けた準備を
本記事では、クッキーの基礎知識からクッキーレスの影響と対策について解説しました。
クッキーレスによって、従来のマーケティング手法では成果を生み出しにくくなることが予想されます。
上述したクッキーレス対策を心掛けるとともに、今まで以上に丁寧にユーザーや顧客と向き合い、信頼を獲得することが重要です。
今後のマーケティングを成功させるため、クッキーレスに向けた準備に取り組みましょう。